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“川ガキ”とは一体なんぞや(転載1/3)

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川ガキって知ってる?
と聞くと、たいていの人は「川で捕れる牡蠣(カキ)?」と答える。
でも、それは間違い。
川ガキとは、セミの鳴き声が響く季節になると、『水辺に集まってくる子ども』のことなのだ。

岩や橋から水面に向かって飛び込む子、魚を追いかけるのに夢中になる子、競いあって泳ぐ子など、遊び方は千差万別。
遊び場も一ヶ所ではなく、浅瀬や川の深いところなど、その時の気分で決まる。
夏休みには毎日のように川へ通うから、真っ黒いカラダをしているのが特徴だ。

川ガキが生息しているところには、きまって“かつて川ガキだった大人”がいることが多い。
釣りや井戸端会議をしながら、水辺で遊ぶ子どもたちをニコニコと笑って眺めているのだ。
ときには魚捕りの先生に変身するけれど、いつもはただ黙って見守ってくれている。
「なんだか自分が遊んでいるような気分になれるんだ」
白髪のおじいさんが子どものような笑顔で教えてくれたのが、とても印象的だった。

川から人が遠ざかり、川が忘れ去られようとしている。
都市に限らず、生活のなかで川との接点が希薄になり、川本来の流れを想像することが困難なせいかもしれない。
あたり前のように水辺を遊び場とする川ガキにしてみれば、川を忘れるということはあり得ないこと。
忘れることは、大切な玩具を捨てることと一緒なのだ。

遠い過去の光景ではなく、今もニッポンの水辺に生息する元気な川ガキたち。
そのイキイキとした笑顔に接するたび、大人になって失いかけた何かを思い出させてくれるような、懐かしい気持ちになるのはぼくだけだろうか。


ママレード4月号(2003年4月1日発行)より転載

2004.10/24