なさい星人
「地球のたまご」での写真展設営のため、浜松へ向かったときのこと。
朝7時に東京駅を発った新幹線車内では爆睡。
静岡駅に停車し、車内が騒がしくなったことで、やっと目覚めました。
でも、まだまだ身体は寝ボケ状態。
再び眠り込んでしまわないように、耳に付けていたイヤホンを外してiPodを仕舞い、なんとはなしに車内に充満する賑やかな話声を聞いていると、通路を挟んだ隣席の声がひときわ目立っているのに気付きました。
隣席に座っていたのは、小さな男の子と女の子と母親の3人。
気になった声の正体は子どもではなく、母親のものでした。
「ペットボトルをちゃんと持ちなさい」
「ちゃんと座りなさい」
「よしなさい」
「やめなさい」
「〜なさい。〜なさい。〜なさい」
母親は1分間に何度も「〜なさい」という言葉を口に出し、その言葉は途切れることなく続きました。
男の子は無邪気なもので、何回も「〜なさい」と言われても、新幹線の旅に興奮し、楽しくて仕方ないって感じ。
ぼくには、子どもたちがちゃんと座っていたように見え、ペットボトルを持っているように見えたんだけどなぁ。
ペットボトルのことで注意された女の子は、少し怒ったような顔で「もういらない」とふてくされていたようでした。
嫌でも聞こえてくる注意や命令を促す言葉のオンパレードに、こちらまでもが気分が悪くなってきます。
「あの〜、一番うるさいのはお母さんなんですけど」と、口に出掛けたところで浜松駅が近いとの車内アナウンス。
日常的に抑制されて生きていくのって、けっこう辛いよなぁ。
2005.9/ 6