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展示作品(布プリント)について

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今回の展示では、室内展示だけでなく、人が集う河原をはじめ、森のなか、都会の街中など、展示場所を限定せず広げていこうと考えました。
自由に想像力を膨らませ、川面や水中に作品を設置したら、いったいどんな写真展になるのだろう。
そんなことを考えただけで、なんだかワクワクとした楽しい気持ちになってきたのです。

しかし、野外に展示するのは簡単ではありません。
一日だったら問題は少ないかもしれないけれど、それでも室内と比べると課題は多い。
予定していた野外での最長展示期間は約2ヶ月。雨が降ることもあるだろうし、夏の紫外線も心配なところ。来るかどうかわからないけれど、台風による強風も考えておかなければいけない。
当初は大型インクジェットで作品を印刷し、その後、両面ラミネート加工を施すことを考えていましたが、いろいろ調べると、やはり水気に長時間さらすことは無理だとわかりました。

さて、どうしようかと悩んでいたときに、実に良いアイデアを提供してくれた方がいたのです。

大阪・心斎橋に「カメラのナニワ」というカメラ販売の老舗があります。
ここにはちょっと変わった名前の部署があり、日々、写真を使った面白いことを考えている人たちがいるのですが、その方たちがアドバイスしてくれたのが「布」に写真を印刷するというものでした。
一口に布プリントと言っても、アイロンプリント等、方法はいくつもありますが、水と紫外線に強く、長期間の設置に耐えられないと意味がありません。
そして辿りついた答えが、福井に本社がある繊維会社「セーレン」の布印刷技術でした。

この印刷方法は転写やシルクスクリーンとは異なり、写真のデジタルデータがそのまま布地に染色されるというもので、その色表現はなんと1670万色。
直接布地を染めるため、印刷部がはがれる心配もなく、ポリエステル素材を使用するため、安心して水辺で使用できるのが特徴です。
そして今回、企画趣旨を理解し、「セーレン」が展示作品の制作を引き受けていただいたことは、本当に嬉しいことでした。
そしてまた、この「セーレン」による染色技術は、従来の方法よりも水やエネルギーの消費量が20分の1で済み、排水や排煙も従来の10分の1だということも、写真展に直接関係ないことだとはいえ、嬉しいことでした。

印刷された布を作品として扱っていただき、応援していただいた「セーレン」という企業と出会わなかったなら、ぼくがイメージした写真展は出来なかったと思っています。

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2003.7/17