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冷たい雨のなかで

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取材のため、三日前に自宅を出て、今夜は広島県三次市に来ています。
冷たい雨が朝から降っています。
昼間、そのあまりの寒さに薄いダウンジャケットをシャツの上に着込んだほどです。

新潟も冷たい雨が降っているのでしょうね。
地震から日にちが経つごとに、被害の深刻さや影響が大きくなってきているのを報道で知るたび、なんともやりきれない想いがココロに引っかかってばかりいます。

ここに何も出来ない自分がいます。
昔のようにすべてを放り出し、現場へ駆けつけることをしない自分がここにいます。
「仕事が」「撮影の日程が」を理由(言い訳)に。

今夜、写真展会場で知り合ったある方と、仕事ではなくプライベートで夕食をともにしました。
彼はいま、NPOと役所を橋渡しする部署の仕事をしていて、やはりというか新潟での起こっていることの話もしました。
ボランティアの必要性は当然として、そのコーディネイトの大切さを。

ひとしきりお酒を飲み、その方と別れ、さきほどホテルへ戻ってきました。
そしてテレビをつけ、ニュースを眺めています。
ほろ酔いかげんの、暖かい部屋で。

テレビの向こう側に映る、不自由な生活をせざるしない人たちが、一日も早くこれまでと変わらぬ「日常」に戻ることを願っています。
と、思うしかない自分が、ここにいます。

*旧ブログより*

2004.10/26

あと何人自殺したら工事を止めますか

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九州に来ています。
昨日、久しぶりに諫早湾を眺め、普賢岳の麓を歩きました。

諫早湾が潮受け堤防で閉め切られてから8回目の秋。
堤防の内側、潮の満ち引きがなくなった土地にセイタカアワダチソウが広がっていました。
風に揺れ、ざわめく黄色の花々。

今年も、もうじき海苔養殖の季節がやってこようとしています。

当初から危惧された諫早湾閉め切りによる漁業への影響は、年を追うごとに深刻さを増し、いまや堤防の外側に広がる有明海は瀕死に近い状況だといわれています。

今年7月。
承諾殺人罪に問われたある男性の判決が福岡地裁久留米支部で言い渡されました。

有明海で海苔養殖を営んでいた男性の裁判です。
男性は借金苦から母親との心中を決意し、自宅隣の作業小屋で母親を殺害した罪に問われていました。

母親は殺害前、男性に「お前とならよかよ。父さんの借金ば、担がせてごめんね」と語ったそうです。
そして息子に首を切られ、失血死で亡くなりました。
後に続こうとガソリンを浴びた男性は、100円ライターを握りしめたものの、子どもの顔が頭に浮かび、手が震え、どうしても火をつけることができなかったといいます。

海苔の不作が続き、漁具購入等で借り受けた資金返済の目処が立たず、働いても働いても苦しくなる生活に絶望した末の行動と、判決にはあります。

検察側の求刑は懲役5年でしたが、判決は「懲役3年・保護観察付きの執行猶予5年」。
窮状に理解を示し「同情を禁じ得ない」という言葉で、ひとつの裁判は終わりました。

約4000人もの有明海漁民が「不作が続き、多額の借金を抱え、将来が見えない。今回の事件は他人事ではない」と、男性に対して寛大な判決を求める嘆願署名を提出したことも判決に影響したのかもしれません。

東京新聞(2004.8.28付)の記事によれば、有明海周辺では干拓事業開始後に70人が自殺し、影響の大小こそあれ、漁業不振は無視できないほど深刻な影を落としています。

「あと何人自殺したら工事を止めますか」

海苔不作に代表される漁民の度重なる訴え。
そのあまりにも悲痛な言葉に、おもわず息が止まります。

事業の中止、水門の開放を求める漁民の声に、政府は真摯な態度で耳を傾けてほしい。
そしてこのような悲劇を繰り返さぬ決断をしてほしい。
切に、そう願います。

*旧ブログより*

2004.10/16

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