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冷たい雨のなかで

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取材のため、三日前に自宅を出て、今夜は広島県三次市に来ています。
冷たい雨が朝から降っています。
昼間、そのあまりの寒さに薄いダウンジャケットをシャツの上に着込んだほどです。

新潟も冷たい雨が降っているのでしょうね。
地震から日にちが経つごとに、被害の深刻さや影響が大きくなってきているのを報道で知るたび、なんともやりきれない想いがココロに引っかかってばかりいます。

ここに何も出来ない自分がいます。
昔のようにすべてを放り出し、現場へ駆けつけることをしない自分がここにいます。
「仕事が」「撮影の日程が」を理由(言い訳)に。

今夜、写真展会場で知り合ったある方と、仕事ではなくプライベートで夕食をともにしました。
彼はいま、NPOと役所を橋渡しする部署の仕事をしていて、やはりというか新潟での起こっていることの話もしました。
ボランティアの必要性は当然として、そのコーディネイトの大切さを。

ひとしきりお酒を飲み、その方と別れ、さきほどホテルへ戻ってきました。
そしてテレビをつけ、ニュースを眺めています。
ほろ酔いかげんの、暖かい部屋で。

テレビの向こう側に映る、不自由な生活をせざるしない人たちが、一日も早くこれまでと変わらぬ「日常」に戻ることを願っています。
と、思うしかない自分が、ここにいます。

*旧ブログより*

2004.10/26

ココニシカナイモノ

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熊本県を流れる川辺川を撮影した写真展が、来月末から大阪・心斎橋の「カメラのナニワ」本店5階ギャラリーにて始まります。
タイトルは『ココニシカナイモノ〜川辺川という流れの上に』。
会期は11月26日(金)から12月5日(日)まで。
9月末に熊本県人吉市で開催した同タイトル・同作品による写真展です。

写真展の舞台となる川辺川は、日本三大急流として知られる球磨川最大の支流です。
九州中央部を連なる脊梁山脈・国見岳に端を発する全長62kmの流れは、泉村と五木村を貫流し、相良村にて球磨川本流と合流。
合流点下流には球磨焼酎の産地として人気のある人吉市が広がり、川辺川が注ぎ込んだことで勢いを増した球磨川は、白く泡立つ瀬を繰り返し、不知火海(八代海)へ注ぎます。

ぼくが初めて川辺川を訪ねたのは、10年ほど前のこと。
第一印象は「水量が豊富にある上に、驚くほど水質が綺麗」というもので、俗にいう一目惚れといってもいいかもしれません。
東京から出掛けるには、ちょっと躊躇してしまうほど遠い川ですが、それでも出掛けるに値する川のひとつかなと。

それからというもの、毎年のようにこの川へ出掛けています。
カヌーを漕ぎ、水中メガネをつけて川を潜る。夜は河原でキャンプ。
といった遊びを川辺川でどれほどしたことだろう。
ここ数年は、“川ガキ”や“川を取り巻く風景”の撮影が出掛ける目的になりましたが、川辺川に会いたいという思いは相変わらずです。

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2004.10/26

小さな胸を高鳴らせ、ヒーロになろう!(転載3/3)

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水中メガネ越しに川のなかを眺め、泳ぎ回る魚を見つけては胸を高鳴らせ、その姿を見失うまいと一生懸命追いかける川ガキたち。

そのうち眺めるだけでは飽き足らず、魚を捕まえることに好奇心が移りはじめる。
すると、水中を覗く姿が真剣そのものへと変わっていくから面白い。
川ガキは、魚を捕ってはじめて『立派な川ガキ』といえるのだ。
しかし、最初から簡単に魚が捕れるはずはなく、それが大きな獲物となればなおさら難しい。

目の前を泳ぐ魚を簡単に捕まえることができれば、テレビの主人公のようなヒーローになれる。
でも、捕れない。
魚だって必死なのだ。
やみくもに網を振り回しても、欲しい獲物は手に入らない。
自分の技量にあった魚を狙い、経験を積むしかないのだ。

川底を慎重に覗いていくと、石の間から“テナガエビ”の長いヒゲが揺れているのを見つけることがある。
嬉しくて飛び跳ねたい衝動を我慢し、静かにそっと石を持ち上げ、エビがいるあたりに網をかぶせる。
テレビゲームよりもワクワクする緊張感。

仲間同士で競い合い、獲物が捕れるたびに川面いっぱいに響く雄叫び。
それがおかしくて、網を持つ川ガキを見つけるたびに、ぼくも彼らに交じって、川のなかへ入るのだ。


ママレード6月号より(2003年6月1日発行)より転載

2004.10/26

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