ホーム 川ガキについて 写真展情報 紹介記事 コラム サイトについて プロフィール お問い合わせ トップ

川辺川という流れの上に

040927.jpg

いま、熊本県人吉市にある「ひとよし森のホール」にて、ぼくの写真展が開催されています。
タイトルは「ココニシカナイモノ」。
人吉市のすぐ脇を流れる川辺川が、今回の写真展の舞台です。
会期は10月3日(日)、PM5時まで。

清冽な流れのなか、水飛沫をあげる子どもたち。
きらめく水面に跳ねる鮎の姿。
雨が降り、わきたつ雲。
風に揺れる樹々、花咲く緑に響き渡る鳥の声。
川の流れとともにある、春夏秋冬。

身近にある風景、何気ない景色のなかにある、ここにしかないもの。
大事にしたい風景や大切な思い出。
ひとりひとり表情が違うように、大切なものも人間の数だけある。

そんな自分だけが感じる大切なものを再発見するお手伝いができれば、こんなに嬉しいことはありません。

*旧ブログより*

2004.9/27

空を見上げ、草むらへ

040920.jpg

東京の山手線車内で、こんな会話を聞いたことがあります。

「最近、カエルって見ないよなぁ」
「少なくなったよねー」
「子どものころは、たくさんいたのに」
「カエルだけでなく、虫とかも最近見ないね」
「いなくなったんじゃないの」

話をしていたのは20代前半の男女ふたり。
カエルの写真が印刷された中吊り広告を見つけての会話です。

ぼくが子どもだったころ。
行動範囲と呼べる場所は、通学路や自宅周辺などがせいぜいでした。
それでも面白いのが、そんな身近な場所でも十分に驚く発見があり、出会いがあった。

今とは比べ物にならないくらいの集中力と時間を使い、生きものを探し遊んだ子ども時代。
なんでもない空き地で、飽きもせずに終日を過ごすことだってできた。
手の届く範囲がすべてだったけれども、その範囲においては、大人顔負けの世界の広さがあったと思います。

大人になった今。
いないと感じたのは、見つけることをしなくなっただけ。

カエルがいなくなったのではなく、カエルのいる場所に出掛けていないだけ。
トンボが少なくなったのではなく、空を見上げる時間が減っただけ。
バッタがいなくなったのではなく、草むらへ近づかなくなっただけ。

生きものの存在に気が付かなくても生活はできるけれど、そういえば最近見なくなったぁと思ったら、探してみることをお勧めします。

*旧ブログより*

2004.9/20

理解する努力を続けるということ

040916.jpg

ぼくがそのニュースを知ったのは、山陰の小さな駅舎にいるときでした。
誰もいない待合室でぽつんとひとり、古びたテレビが伝える長崎県佐世保発の映像を眺めていました。
天井から吊るされたテレビに、闇に染まる小学校が映っていたのが印象的でした。
なんだかひどく気が重く、駅へ到着した折り返し列車に、足を引きずるように乗ったのを覚えています。
ほかに乗り込む乗客の姿はなく、寂しい車内のなかで、どうしてそんなことをしてしまったのだろうかと、そんなことばかり考えていた気がします。

あの日から、3ヶ月と少しの月日が過ぎました。

そして昨日、家裁へ送致された女児の保護処分が決定されました。
行動の自由が制限される児童自立支援施設で今後2年間、保護観察下におかれるという決定が。
刑事責任が問えない14才未満では、最も厳しい処遇らしいです。

新聞報道によると、女児はいまも事件の重大性を実感できずにいるといいます。

カッターで切られると痛いことは知っているし、血が出ることも知っている。
人が死ぬということも、知ってはいる。
大切な人がいなくなると、人が悲しむことも知っている。
それがいけないことだということも、もちろん知っている。

こんなことは子どもでも知っていることです。

でも、知っているということは、理解していることではない。
と、今回の事件で思います。
11才。幼いといってしまえば、それまでかもしれない。
でも、だからって、なぜ同級生の命を奪ってしまったのか。

被害者の父親が書かれた手記を読みました。

「子どものすべては理解できないと分かったうえで、理解する努力を続けてください。それぞれの家がそれぞれのやり方で」

大人へなれば、すべてを理解できるようになるとは限りません。
本当の理解とは、自分の頭で考え、苦労することで得るもの。
ぼくら大人たちもまた、女児が突きつけた「なぜ?」を理解する努力が必要なんだと思います。

*旧ブログより*

2004.9/16

 1  .  2  .  3  .  4  .  5  .  6  .  7  .  8  .  9  .  10  .  11  .  12  .  13  .  14  .  15  .  16  .  17  .  18  .  19  .  20  .  21  . All pages
[ページの上へ]