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なぜ、川ガキなんですか?

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なぜ、川ガキを撮っているのですか?

写真展会場などで、この質問をよく受けます。
移動写真展について書く前に、この“なぜ”について触れたいと思います。

今から15年程前。
ぼくは水面を自由に移動できるカヌーという乗り物に出会い、川で遊ぶ楽しさを知りました。
カヌーでの川旅は、テントや寝袋など必要最小限のものを舟に積み込むところから始まります。
そして自分の腕だけを頼りに、流れへ乗って川を下る。
気に入ったところがあれば上陸し、テントを張る。
のんびりとキャンプする贅沢をも味わう。
それは今まで経験したことのない旅のカタチでした。

カヌーに乗ると、水面から50センチの高さで世の中を眺めます。
視界を占めるのは、川幅いっぱいの流れと、広い空。
日常の視点とは違う、そんな世界もまた魅力です。

川旅を重ねていくうちに、川を「線」として見るようになりました。
ニッポンの川にはダムや堰が至るところにあります。
カヌーで川を下ろうとする者にとっては、その姿を見つけるたびにユウツになります。
ダム自体が障害物となり、川を下れないのです。
またそれが発電用ダムの場合、その下流に水がないことも珍しくはありません。
上流から河口まで、すべての行程を下れる川は意外と少ないのです。

と、いうことに、少しずつ気付いていきました。
計画中のダムや堰に反対する活動へ参加し始めたのは、ちょうどその頃からです。
川がほんとに好きになったのかもしれません。

写真を撮ることが生業になってからは、しぜんと題材にダムや堰などを扱うようになりました。
でも、ふと思ったんです。
共感を得るには、入口は広い方がいいのではないかと。

ぼくのまわりには問題となっているダム事業を理論的に調査し、現場で闘っている方々が「この事業は必要ない」と胸を張って言えるデータを提供する人たちがいます。

役割分担。
と、思っているのは、ぼくだけかもしれませんが。
そしてぼくは“川ガキ”を撮ることを始めたんです。

ぼくの写真を見て、川を身近に感じてくれたのなら、どんなに嬉しいことか。
川が好きになり、気付いて欲しい。
日本の川の現状を。

*旧ブログより*

2004.9/14

Traveling Gallery

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写真展会場へ足を運ぶ側がひとりひとり求めるものが違うように、写真展を企画する側もまた、展示へ寄せる想いや目的はそれぞれ違います。

悲惨な現状を伝えることを目的に写真展を企画される方もいるでしょうし、写真から安らぎを感じてもらうことを目的に掲げる方もいるでしょう。

しかし、これまでの写真展といえば、目的や想いはそれぞれ別モノなのに、肝心の写真を展示する「場」はいつもと同じ、ごく限られた場所と空間。

そして残念なことに、写真展へ足を運ぶ人もまたいつもと同じ、ごく限られた人たち。

もちろん、これがすべてだとは思っていません。
幅広い世代に愛されている写真家の展覧会は写真を十分に鑑賞できないほど混雑し、まるで駅のホームのように様々な人の姿がある。

それでも、やはり思うのです。
写真はまだまだ、ごく限られた人だけが見に来るものと。

“川ガキ”の写真展示を思い立ったとき、まず頭に浮かんだのは、写真を見てもらいたい人たちの姿でした。
それは“川ガキ”と同世代の子どもたちであり、子どもを持つ母親や父親であったりと、むかし川で遊び育った世代にも見てもらいたいとも思いました。

とにかく、どのようにすれば、ぼくの願う人たちが写真を見てくれるのか。
しばらくはそのことばかり考えていました。

そして、あるとき思ったんです。
写真展会場に来てくれることを考えるのではなく、自分から写真を持っていけばいいんだと。
写真を展示する「場」はけっしてギャラリーだけではないんだと、ぼくにとっては眼からウロコのドキドキする発見でした。

そしてトラベリングギャラリー(Traveling Gallery)と名付けたぼくの移動写真展が始まったのです。

*旧ブログより*

2004.9/13

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